9.8.2025

練習とレッスン、子どもが見せる“別の顔”のワケ

「家ではちゃんとできてるんですけど…」

ピアノのレッスンをしていると、保護者の方からこんなお声をいただくことがあります。

「家ではしっかり弾けているのに、レッスンになるとふざけてしまって…」
「レッスンのときに限ってミスが増えて、集中してないように見えます」

おうちでの練習と、先生の前でのレッスン。
同じ“ピアノを弾く”という行為でも、子どもが見せる姿はまったく別のものになることがあるのです。

でも、それは決して“ふざけているから”でも、“やる気がないから”でもないかもしれません。
その違いの背景には、子どもなりの気持ちの揺れや、環境による影響があるのです。

▪️家とレッスンでは「空気」がまったく違います

同じ「ピアノを弾く」でも、子どもにとっては、おうちとレッスンではまったく別の環境です。

家では、パパやママがそばにいて、自分のペースで自由に取り組める安心感があります。リラックスした雰囲気の中で、「遊び」の延長としてピアノに向かっている子も多いでしょう。

一方で、レッスンはちょっと違います。
先生という“外の大人”が見ていて、どうしても「頑張らなきゃ」「うまく弾かなきゃ」という気持ちが生まれがちです。
それに加えて、空間にも“ちょっとした緊張感”があって、ピリッとした雰囲気に敏感に反応する子もいます。

子どもなりに「今日はちゃんとやらなきゃ!」と気合を入れて来ていても、うまくいかないとその反動でふざけてしまったり、ふと集中が切れたりするのです。

▪️「できなかった」ときの“照れ隠し”がふざけた態度に?

子どもは、自分の失敗に対してとても敏感です。
まじめな子ほど、「できない自分を見せたくない」「恥ずかしい」という気持ちを強く持ちます。

そんなときに出てくるのが、
ふざけたり、おどけたり、急に笑い出したりする反応。

これは、“自分を守る”ための子どもなりの防衛反応です。
決して、やる気がないわけではなく、むしろ「頑張ろうとしているからこそ」出る反応だったりします。

▪️保護者にできることは「比べない・決めつけない・信じる」

おうちでの姿と、レッスンでの姿。
「どっちが本当なの?」と思ってしまう気持ち、よくわかります。

でも、どちらもその子の“本当の姿”です。
違って見えるのは、それぞれの場での“心の動き”が違うから。

できなかったことよりも、“どんなふうに感じていたのかな?”という視点をもつこと。
そのまなざしが、子どもに安心と信頼を届けてくれます。

▪️先生は、子どもの“気持ち”を見ています

私はピアノの先生として、テクニックや音の正しさだけでなく、
その子が「どんな気持ちでここにいるのか」「なにを伝えたくて弾いているのか」も見ています。

レッスンでうまくいかないときほど、実は成長のチャンス。
できなかったことの中に、その子の「今の課題」や「心の動き」が見えてくるからです。

▪️見せてくれる“別の顔”も、その子の宝物

「家ではできたのに」「さっきはできたのに」
そんなギャップに焦ることもあるかもしれません。

でも、レッスンで見せてくれる“ちょっと不器用な顔”こそが、
子どもが今まさに「育っている途中なんだよ」と教えてくれるサインかもしれません。

できないことを責めるのではなく、
「今この子は、何を感じてるんだろう?」と寄り添う視点を持つことで、
ピアノの時間はもっと、安心で楽しいものになるはずです。

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