7.21.2025

ピアノを“座って弾く”ために、まず“動いて育つ”こと——粗大運動がつくる音楽の土台

こんにちは。今日は、ピアノのレッスンにとって欠かせない“身体の準備”、特に粗大運動についてお話ししてみたいと思います。

■ ピアノなのに「走って遊ぶ」ことが大事?

レッスンをしていると、

「椅子に座るとすぐモゾモゾしてしまう」

「姿勢が安定しなくて、手に力が入りづらい」

そんな様子を見かけることがあります。

一見、集中力ややる気の問題に見えるかもしれませんが、実はその背景にあるのは、“身体の土台”の未発達であることも多いのです。

■ 粗大運動ってなに?ピアノとどう関係があるの?

粗大運動とは、歩く・走る・跳ぶといった、身体全体を大きく動かす力のこと。

これらの動きが、体幹の安定・バランス感覚・姿勢の保持といった、ピアノを弾くときに必要な身体の働きを育ててくれます。

ピアノは指先を使う“静かな習い事”に見えるかもしれませんが、実際は「背筋を伸ばす」「足を踏ん張る」「長く座る」など、身体の協調性や安定感がしっかり求められる活動です。

■ 子どもの身体は、こうして育っていきます

身体の発達は、一足飛びには進みません。

ざっくり言うと、

首すわり → おすわり → ハイハイ → 歩く ジャンプ → ケンケン → スキップ(4〜6歳ごろ)

という順序で、少しずつ大きな動きから細かい動きへとつながっていきます。

片足立ちが安定してできるようになる頃には、ピアノの姿勢も落ち着いてくることが多いです。

■ 家庭でできる!粗大運動あそび

遊びながら“ピアノの土台づくり”ができる、おすすめの動きをご紹介します。

平均台ごっこ(体幹+バランス感覚)

床にマスキングテープで1本線を貼り、落ちないように歩きます。  →「まっすぐ歩けるかな?」「そーっと、落ちないようにね」

くま歩き(肩まわり+左右の脳の連携)

手足を交互に出して、四つん這いでゆっくり歩く動き。  →「くまさんになって、静かにお散歩してみよう」

ケンケンパー(ジャンプ力+身体コントロール)

丸い輪(フープやテープ)を並べて、片足→両足→片足…で跳びます。  →「音楽に合わせて跳んでみるのも楽しいよ!」

へびさん歩き(方向感覚+空間認知)

ジグザグの線に沿って歩くあそび。向きを変えながらバランスをとります。  →「へびさんを踏まないように…そ〜っとね」

どれも特別な道具は必要ありません。

ちょっとした声かけやイメージ遊びで、子どもたちは集中しながら体をコントロールする力を育てていきます。

■ ピアノは“手だけ”じゃなく、全身で支える楽器です

ピアノがうまく弾けないな、というとき。

それは手の技術以前に、身体の準備がまだ整っていないということもあるかもしれません。

思いきり走る、跳ぶ、転がる…そんな“よく動く子ども時代”が、

ピアノの姿勢、安定感、集中力の土台をつくっていきます。

「弾くこと」だけじゃなく、“育ちの順番”を信じて待つことも、音楽教育の一部だと思っています。

■ この夏は、“弾ける身体”を育てるチャンスに

夏休みは、いつもより少し時間に余裕のある季節。家族で一緒に体を動かしたり、外で思いきり遊ぶ機会も増えるのではないでしょうか。

ぜひこの時期を、“ピアノの前の土台づくり”に活かしてみてください。

特別なことはしなくても大丈夫。

おうちの中や近くの公園で、楽しみながら体を動かすだけでも、「弾ける身体」へのステップは、確実に進んでいきます。

親子で一緒に、「育つ時間」を感じる夏になりますように。

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