8.4.2025

“できない”のは、まだ整っていないだけかもしれません——感覚統合とピアノのはなし

こんにちは。今日は、ピアノレッスンでよくある「できない…」という悩みを、

ちょっと違う視点から見てみたいと思います。

■ うまくいかないのは、努力が足りないから?

レッスンをしていると、

「音が覚えられないんです」

「言った通りに動けないんです」

「集中力がなくて…」

といった保護者の声を耳にすることがあります。

でも、そうした様子を“努力不足”や“性格の問題”と結びつけてしまうのは、ちょっと待ってください。

もしかしたらそれは、まだ脳や身体が整っていないだけかもしれません。

■ 今の子どもたちは、“整いにくい”時代を生きている

最近の子どもたちを見ていて感じるのは、

「感覚のバランスが取りにくい子」が増えているということ。

これは決して、その子の能力が劣っているわけではなく、

生活環境の変化が大きく関係しているのです。

外遊びの時間が少なくなった 触れ合う素材が限られてきた デジタル機器を見る時間が長い

こうした暮らしの中では、視覚・聴覚・触覚・動きなど、さまざまな感覚を“つなげて使う”経験が足りなくなりがちです。

その結果、頭ではわかっているのに身体がついてこない——

つまり、感覚統合がうまく育っていないという状態が起きやすくなっているのです。

■ 感覚統合ってなに?ピアノとどう関係しているの?

感覚統合とは、

目・耳・手足・身体の動きなど、さまざまな感覚を、脳でまとめてコントロールする力のこと。

たとえばピアノでは、

楽譜を目で見る(視覚) 音を聴く(聴覚) 手を動かす(運動感覚・触覚) 姿勢を保つ(前庭感覚・体幹)

というふうに、たくさんの感覚が同時に関わっています。

この“感覚の連携”がうまくいかないと、

楽譜は読めているのに指が動かない 音を聴いても身体が反応しない 長く座っていられない

といった状態が起きやすくなります。

■ 「できていない」より「整っていない」だけ

私がレッスンで大切にしているのは、

子どもの“できていない”部分ではなく、

「まだ整っていない」だけかもしれない、という視点で見ることです。

整っていないときは、無理に進ませようとせず、

まずは感覚をつなげる“土台”を育てることが、結果的に近道になると感じています。

■ 家庭でできる、感覚統合を育てる“音と身体のあそび”

感覚統合は、遊びの中で自然に育てていくのが一番です。

たとえばこんな活動が、音楽やピアノへの準備にもつながります:

音楽に合わせて歩いたり止まったり(聴覚×前庭感覚) 目を閉じて物に触れ、何かを当てる遊び(触覚×空間認知) スカーフや布を音に合わせて揺らす(視覚×動き) 指先でおはじきを並べる(触覚×視覚)

こうした経験を重ねることで、“感じて動ける”身体が整っていきます。

■ まとめ:できるようになる前に、“つながる”が必要です

ピアノが弾けるようになる前に必要なのは、

音を聴いて、感じて、動ける身体と感覚のつながりです。

うまくいかない日も、できないことが多く感じる日も、

「いまは整っている途中なんだな」と思って見守ること。

それが、子どもにとっても、保護者にとっても、やさしい学びの時間になると私は信じています。

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