10.6.2025

「脱力って、どうやって教えるの?—“力を抜く”には安心が必要」

「なんだか力が入りすぎてて…」「指がピーンと突っ張っちゃうんです」など、ピアノを習い始めた子の指を見て、そんな心配をする保護者の方も多いかもしれません。

でも、子どもに「力を抜いてね〜」と言っても、伝わらないことが多いもの。

大人でも、“力を抜く”って、実はとっても感覚的でむずかしい行為なんです。

■ 「脱力」には“安心”が先に必要

ピアノの前に限らず、身体の力をふっと抜くには、まず「安心感」が欠かせません。

たとえばリラックスしているときや、好きな遊びに夢中になっているとき、子どもたちは自然と“ふにゃっ”とした動きになります。

逆に、緊張していたり、「失敗しないようにしなきゃ」と思っていると、無意識に力が入ってしまいます。

■ 力を抜く=コントロールする力が必要

もうひとつ大事なのは、「脱力」は何もしていない状態ではなく、“力を入れる・抜く”を自分でコントロールできることです。

たとえば、積み木をそっと置く。

ボールをふわっと投げる。

粘土をやさしくのばす。

これらはすべて「力加減」を調整する経験であり、実は脱力の第一歩でもあるのです。

■ 脱力につながる遊び・生活の中のヒント

家庭でもできる脱力へのアプローチはたくさんあります

・粘土遊び:やわらかい素材に触れることで、自然と力が抜ける感覚を育てられる

・折り紙やシール貼り:細かな動きの中で、力をコントロールする練習

・風船バレー:力を入れすぎるとうまく飛ばないため、自然と脱力のコツがつかめる

・くすぐりやマッサージ:親子でスキンシップをとることで、身体がほぐれやすくなる

■ ピアノレッスンでも、「脱力ごっこ」から

私の教室でも、いきなり「力を抜いて」とは言いません。

「手をおだんごにしてポトンと落としてみよう」

「ゾウの鼻みたいに、ぶらーんとぶらさげてみよう」

そんな“ごっこ遊び”や”てあそび”からスタートして、「力が入ってるってどういうこと?」「力が抜けてるってどんな感じ?」を、感覚として経験してもらいます。

■ 力を抜くには、まず「こころの力」を育てること

子どもが「力が入ってしまう」のは、がんばっている証拠。

でもそのがんばりが、ちょっとつらくならないように、「安心」「信頼」「遊び心」を通して、自然と“ふにゃっと”できる関係性や環境をつくることが、いちばんの脱力レッスンかもしれません。

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